本社の社長と部門本部長が香港に出張されて、香港会社のスタッフと会食したいということで会社から呼び掛けられた。家を留守にすると子供が勉強をサボるので行くかどうか迷っていたが、ちょうど香港から中国内地までの新幹線が運営初めて3日目になったので、体験してみようと思い、いくことにした。会社と家の2点１線の生活にもう飽きていて、たまには自分の生活に新しい空気を入れなくちゃと思った。

ネットで15：55の乗車券を購入して、14：20に家を出たが、福田まで11号線で22分間、福田で乗り換えて新幹線に乗った。結構時間ぴったり合わせて家を出たので、慌しく福田まで着いて早速自動販売機で切符を発行し、新幹線駅のホームに向かって駆け出した。出発15分前になってから改札口を通せるようで、駅の待合室で待機された。

日本の新幹線を想像しながら車両に入り込んだが、座席は材質も廉価のようだったし、結構キュウキュウに詰められていて少しがっかりした。窓際の席に座った。地下を通っているので、窓外は真っ暗のトンネルが続く。携帯の信号は電車出発から2分で香港の信号に変わった。15分ぐらい過ぎたらもう香港に着いた。もう少し新幹線に乗る気分でいたかったが、あっという間に着いてしまったのだ。ちょっと残念な気持ちで電車に降りる。

エレベーターに上がったら中国内地側の税関に当たってeチャンネルを通す。以前は列を並んで税関の人が窓口で香港ビザをチェックされた。数年前から自動識別機械を設置して、機械のガラスパネルに香港パスワードを載せて、指紋を押し、顔の写真も撮られてからドアが開けられる。ドアは2個ありドア前に同じことを繰り返される。1分で済ませた。中国内地の税関を通して50メートルぐらいの通路を歩くと今度は香港税関に当たる。新しくできた税関なので床や壁に張ったタイルはぴかぴか光る。香港税関通すとすぐ新幹線の改札口になる。「抵港」というふた文字がよほど親切に見える。香港に年2回は行っているが、今までの家から香港中環までの3時間がなんと2時間に縮まった。この短さに境界線を乗り越えた気分が前より薄まってもの足りなさを感じたがとにかく1時間節約できたので、会食時間まで後1時間半もある。

会食場所はシャグラホテルの地下1階の中華料理である。ホテルの隣は香港有名な维多利亚港である。ちゃんと座る場所もあるのであそこで海を見ながらぼーとしよう。青々とした海とその周辺ののっぺりとしたビルが一目に入る。新鮮な空気が鼻をすすった。有名ブランドの「Phyllips」、「日立」、「Sony」などの看板を掛けた高層ビルが次々と立ち並んでいて都市感を付与する。まさに富の象徴である。海の上に白いスターフェリーが走っている。隣の遊歩道に何人か走りまわっている。遊歩道のそばに土台があって木の製の長いベンチに腰を掛けた。ベンチの前は広い緑の芝生が活気を添える。ベンチにはもう1人の女性が座っていた。グレー色のスーツにハイヒールの姿。髪は肩の上まで切ってある。とても知的に見える。携帯をじっと覗いていて、目前の美景に関心がないようである。香港の代表的なサラリーウーマンか。私にとっては彼女もきれいな風景である。

なんの計画もなかった旅行で意外に収穫が多い。そろそろ会食の時間に迫った。